除菌プログラム
唾液検査
唾液の役割
虫歯になりやすい人となりにくい人の違いには、実は唾液が大きく関わっている事をご存知ですか?
唾液はアルカリ性で、虫歯菌により酸性にかたむいたお口の中を中性に戻してくれる作用があります。そのため、ご自身の唾液の状態を把握しておくことにより、虫歯になるリスクを知ることができます。まずは、一度、「唾液検査」をうけてみてください。今後の、お口の中の健康維持のための予防プランの手がかりとなります。
特に高齢者はドライマウス(口腔内乾燥症)になる傾向があります。高齢になればなるほど唾液について理解する必要があります。
唾液検査からわかること
(1)虫歯菌の量
虫歯菌には主に、ミュータンス菌とラクトバチラス菌があります。ミュータンス菌は、虫歯の始まりに大きく関与する菌で、強い酸を出し歯を溶かしてしまいます。乳児期の1歳7ヶ月~2歳7ヶ月の間に感染しやすい菌です。
もう一つ、ラクトバチラス菌は、虫歯の進行に関与します。酸を好む菌で、虫歯の進行した象牙質やうまく合っていない被せ物の周りで虫歯を進行させていく菌です。これら2つの菌の量を知ることができます。
(2)唾液緩衝能
唾液緩衝能とは、酸性に傾いた状況を中和させる事のできる能力です。普通時はpH6.8ですが、飲食を開始すると2分後にpHが一番酸性に傾き、20〜40分で中性に戻ります。この能力がどれくらいあるかを知ることができます。
(3)唾液分泌量
唾液は歯についた汚れを落としたり、免疫に関与していたりと、体の健康を支えるのに大きな役割があります。唾液の量が多ければ多いほど虫歯のリスクが減ります。この量を知ることができます。
唾液検査と諸注意事項
検査1時間前は、飲食・喫煙・ブラッシングは避けて下さい。また、直前に激しい運動もしないでください。検査12時間以内に、マウスウォッシュなどのアルコールを含んだ洗口液で口をゆすがないでください。内服薬があれば、事前に申し出て下さい。
除菌プログラム
当院では、虫歯菌を除菌するためのプログラムをご用意しております。
唾液検査を行った上で、ミュータンス菌が多く検出された方には、「3DS」(※1)治療をおすすめしています。少なかった方は、虫歯菌を増やさないためにキシリトール(※2)、プロデンティス(※3)を取り入れましょう。キシリトールは3ヶ月程度で、プロデンティスは2週間で効果が現れます。
3DS 治療費¥28,000
※1:3DS(デンタル ドラッグ デリバリー システム)
薬剤を専用のトレーに注入し、歯に装着することで、虫歯菌や歯周病菌に直接薬剤を作用させて除菌し、歯垢の定着を集中的に抑える治療法です。
虫歯や歯周病菌はバイオフィルムという膜に守られています。このバイオフィルムは、日常のブラッシングでは除去できません。たとえ、歯科医院のクリーニングで一度は除去したとしても、しばらくたつとまた作られます。
よって、薬剤の効果を最大限に発揮させ、再び作られる前に除菌してしまおうという治療法です。3DSによる除菌効果は、4〜6ヶ月持続すると言われています。
【治療方法】
歯型をとり専用トレーを作成します。クリーニングでバイオフィルムを除去した後、医院で薬剤を塗ったトレーを5分間装着していただきます。1週間は、毎日夜の歯磨き後に家で5分間装着。1週間後、再度医院でクリーニングをしてから5分装着します。
治療費 ¥28,000(上下トレー/除菌ジェル/クリーニング2回)
※2:キシリトール
キシリトールは天然素材の甘味料です。多くは白樺の木から作られます。甘さは砂糖とほぼ同じですが、虫歯の原因となる酸が作られないだけでなく、プラーク(歯垢)がはがれやすくなるため汚れが落としやすくなる効果があります。
悪玉ミュータンス菌を善玉のミュータンス菌に変えてしまうのです。
当院では歯科専用の100%キシリトールガムをおすすめしています。一般的に市販されているものは、キシリトールの含有率が50%以下で、その他の代用甘味料が含まれています。キシリトール以外の甘味料は虫歯菌により酸が産生されます。
【服用方法】
100%キシリトールガムを1日4〜8粒、食後に2粒を5〜15分間ほど、噛んでいただくことを習慣化してもらいます。
小さなお子様には、ガムではなくタブレットをおすすめしています。
※3:プロデンティス(サプリメント)
研究の結果、虫歯菌や歯周病菌を減らす乳酸菌がいることが分かっています。その乳酸菌とはラクトバチルス・ロイテリ菌と呼ばれ、広島大学の研究では、虫歯菌を14日間で80%減少させたことが分かっています。さらに、インド大学の研究で5種類の歯周病菌が21日間で90%減少したことも明らかになってます。
就寝前に1錠をゆっくりとなめながら摂取することで、夜間の歯周病菌の繁殖を1/10に抑えます。
錠剤1錠で、ヨーグルト3〜4個分の乳酸菌が腸にとどきます。そのため、虫歯菌や歯周病菌を減少させ、口臭改善の他にアトピーの改善・ピロリ菌の減少・便秘、下痢の改善・免疫力アップなど全身にも様々な効果をもたらしてくれます。
歯周内科治療
最近の研究では、歯周病は様々な全身疾患と密接な関係にあることが分かっています。(詳しくはこちら)
お口の中の悪玉歯周病菌が血管の中に入り込むことで、全身に悪影響を及ぼすのです。悪玉歯周病菌はブラッシングによる出血や、歯科治療で歯石除去時の出血など、やぶれた毛細血管から血管内に侵入します。健康な人ならば、少しくらい菌が入ったとしても免疫機能は働き問題ありません。しかし、免疫力が低下している人や菌の数が極端に多い場合には、致命的な感染症を引き起こすのです。
当院では、顕微鏡検査により歯周病菌が多く見られた方には、ジスロマックという抗生物質を処方してから歯石除去を行っています。
また、歯周病は悪玉歯周病菌とカンジダ菌の混合感染で治りにくい歯ぐきの病状を作っている事が分かっています。このカンジダ菌を除去してくれる専用の液体ハミガキ剤(ペリオバスター)を使う治療も行っています。